近年の軽自動車は、「トールタイプ」という大きなタイプも増えてきました。コンパクトで取り回しがよい点と、室内空間の広さを兼ね備えた車です。
いっぽう、普通車にも「コンパクトカー」という小回りの利く小さなサイズの車もあります。軽トールタイプもコンパクトカーも、燃費のよさや維持費の安さもポイントです。
どちらも似たような特徴もあり、軽トールタイプとコンパクトカーのどちらがいいのか迷うこともあると思います。そこで、軽トールタイプとコンパクトカーについて比較してみました。軽トールタイプやコンパクトカーを購入候補としているとき、参考にしてください。
目次
軽トールタイプとコンパクトカーの特徴
はじめに、軽トールタイプとコンパクトカーの特徴をチェックします。
軽トールタイプとは?
軽自動車のトールタイプとは、キャビン(乗車空間)部分の車高を高くした軽自動車のことです。トールワゴンやハイトワゴンとも呼ばれます。
コンパクトさや取り回しのよさと、室内空間の快適性や使い勝手のよさで人気のジャンルとなりました。軽自動車メーカーの各社がトールタイプの軽自動車を製造しており、競合車の多いジャンルでもあります。
コンパクトカーとは?
コンパクトカーは、その名のとおりサイズが小さな車のことです。コンパクトカーの定義は決まっていません。5ナンバーサイズの普通車のうち、エンジンの排気量が1,500cc以下のものを指すことが多いです。なかでもエンジンの排気量が1,000cc以下の車種は「リッターカー」とも呼ばれます。
コンパクトカーは普通車であるため、軽自動車とは異なり乗車定員は5人乗りです。それでいてコンパクトなので取り回しがよく、軽量なので燃費もよいため人気があります。自動車税などの税金なども、コンパクトカーより大きな車より安いです。
サイズ・重量・室内を比較
軽トールタイプとコンパクトカーのサイズや重量、室内空間の広さを比較してみましょう。
まず軽トールタイプについてですが、軽自動車の大きさは法律によりサイズが決まっています。全長3.4m以下・幅1.48m以下・高さ2.0m以下・排気量660cc以下と定められており、最大乗車定員は4人です。
いっぽうコンパクトカーは、一般的に5ナンバーサイズの普通車のうち小型のものを指します。そのため最大乗車定員は5人になります。5ナンバーサイズの普通車の最大サイズは、全長4.7m以下・全幅1.7m以下・全高2.0m以下で、総排気量は660cc超2,000cc以下です。そのためコンパクトカーのサイズは、軽自動車以上で5ナンバーサイズの最大サイズ未満ということになります。
重量に関してはサイズが大きくなれば、重量も重くなります。
コンパクトカーは普通車の中では小さいので運転しやすいですが、軽自動車である軽トールタイプにかないません。取り回しの面では、軽自動車が有利です。しかし乗車定員では、5人乗車できるコンパクトカーに強みがあります。
室内空間では甲乙つけがたいです。軽トールワゴンは室内の幅や長さはコンパクトカーに劣りますが、高さはコンパクトカーより高いものもあります。コンパクトカーは高さのある車種もありますが、高さを抑えている車も多いです。
性能を比較
続いて性能について比較します。
比較するおもな性能は、 以下のとおりです。
- 加速・走行性能
- 走行安定性
- 剛性・衝突安全性
それぞれ見てきましょう。
加速・走行性能
軽トールワゴンは、軽自動車のため軽量です。いっぽうでエンジンの排気量は、660cc以下になります。コンパクトカーの排気量は1,500cc以下、リッターカーだと1,000cc以下で660cc以上。軽トールワゴンの走行性能はコンパクトカーよりも非力なため、コンパクトカーに比べると、加速性能は劣るといえるでしょう。
しかも軽トールワゴンは軽自動車の中では、重量な車になります。そのため軽自動車の中でも、加速は不利です。ただしターボエンジンを搭載した車種であれば、コンパクトカー並みの加速性能を発揮できるものもあります。
走行安定性
軽トールタイプは走行安定性の面でも不利です。重量が軽量なうえ高さがあるので、走行時に不安定になりやすいといえるでしょう。また軽トールタイプのホイールベースは、コンパクトカーより短いです。この点も走行安定性の面で、コンパクトカーより不利といえます。軽トールタイプで高速道路などを走行する場合、状況によっては走行時のふらつきに注意が必要です。
剛性・衝突安全性
さらに軽トールワゴンは、衝突性能の面でもコンパクトカーより不利です。交通事故にあった際の破損具合や衝撃は、コンパクトカーよりも軽トールワゴンのほうが被害が大きくなる可能性があります。
維持費を比較
次に維持費を見ていきます。
自動車の維持費はいろいろありますが、とくに気になるものは以下のものではないでしょうか。
- 燃料代(燃費)
- 税金
- 車検費用
それぞれ軽トールタイプとコンパクトカーで比較していきます。
燃料代(燃費)
維持費の中でも、とくに大きなものが燃料代でしょう。軽トールタイプとコンパクトカーでは、どちらが燃費がよいのでしょうか。
燃費に関しては車種による違いが大きく、軽トールタイプとコンパクトカーという視点での比較は難しいです。加えて、ガソリン車かハイブリッド車か、また軽トールタイプの場合はターボエンジンの有無などによっても変わってきます。なお軽トールタイプ・コンパクトカーとも、サイズが大きな車種よりも燃費はいい傾向です。
税金
燃料代以外で重要な維持費が、税金です。軽トールタイプとコンパクトカーの税金の中から、軽自動車税・自動車税と自動車重量税を比較してみました。いずれも自家用で、2022年3月現在のものです。
税金 | 軽トールタイプ | コンパクトカー |
軽自動車税 or 自動車税 | 10,800円 | 1000cc以下:25,000円 1000cc超〜1500cc以下:30,500円 (2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用乗用車の場合) |
自動車重量税 | 6,600円 | 0.5トン以下:8,200円 0.5トン超〜1トン以下:16,400円 1トン超〜1.5トン以下:24,600円 1.5トン超〜2トン以下:32,800円 |
全体的に軽トールタイプのほうが、支払う税金額は低いです。
車検費用
ほかの維持費として、車検費用があります。車検費用は軽トールタイプのほうが安い傾向です。理由としては、軽自動車はパーツの単価が低かったり、使用するパーツ自体が少ないことがあります。ただし、条件などによって車検にかかる金額は変わります。
価格を比較
軽トールタイプとコンパクトカーで、購入価格を比較してみましょう。新車の場合と中古車の場合で、それぞれ見ていきます。
まず新車価格ですが、サイズの小さな軽トールタイプのほうがコンパクトカーよりも全体的に価格が安い傾向があります。ただし軽トールタイプでも、4WDにしたりターボエンジン搭載車にするなどした場合、コンパクトカーより高くなることもあるので、注意してください。
次に中古車価格ですが、コンパクトカーの中古車相場に比べ、軽トールタイプの中古車相場は値下がりしにくい傾向です。また軽トールタイプは、車種により値下がりの幅に差があります。中古市場において、軽トールワゴンの人気が高いことが理由です。そのため中古車に関しては、コンパクトカーのほうがお買い得な場合が多いといえます。
まとめ
軽トールタイプとコンパクトカーを比較してみました。それぞれどんな人が向いているかをまとめると、 以下のとおりです。
軽トールタイプが向いている人 |
燃費や税金・車検費用など、維持費を抑えたいコンパクトで取り回しのよい車に乗りたい街乗りが多く、高速道路や山道の走行が少ない4人以下でしか乗車しない一般的な軽自動車よりも広い室内空間が欲しい |
コンパクトカーが向いている人 |
5人で乗車する可能性がある普通車だが、できるだけ燃費や税金・車検費用などの維持費を抑えたいコンパクトで取り回しのよい車に乗りたい街乗りもするが、遠出したり、高速道路や山道を走行したりする安全性を求めたたい |
軽トールタイプとコンパクトカーのどちらも、「コンパクトで取り回しがよいこと」「維持費を安くしたいこと」は共通しています。もしこれらの点を求めないなら、もっと大きな車を候補とするからです。
そして「5人乗車するかどうか」「高速道路や山道をよく走行するか」と「安全性を求めるか」の3点をどう考えるかが、軽トールタイプとコンパクトカーのどちらにするかが分かれるポイントだといえます。
軽トールタイプとコンパクトカーのどちらにするか迷った際、ぜひ参考にしてください。