軽自動車の規格いっぱいの広々とした室内空間が魅力のハイトワゴン系の軽自動車。なかでもダイハツの「タント(Tanto)」とスズキの「スペーシア(Spacia)」は人気があります。
そんなタントとスペーシアですが、どちらもハイトワゴン系の車種なので車選びのときに迷ってしまいます。そこでこの記事では、タントとスペーシアのグレートや価格、スペック、性能などについて比較しました。購入の際に、ぜひ参考にしてください。
※2022年10月時点の情報をもとに記載しています
目次
タントとスペーシアの概要
タントとスペーシアを比較する前に、まずは両車の概要について簡単に紹介します。
タントとは?
タントは、ダイハツのハイトワゴン系の軽自動車です。2003年に発売され、3度のフルモデルチェンジが行われています。現行のタントは、2019年に登場した四代目のモデルです。2022年10月に、マイナーチェンジが実施されています。
スペーシアとは?
スペーシアは、スズキのハイトワゴン系の軽自動車です。2013年に「パレット」の後継車として発売されました。2017年にフルモデルチェンジが行われ、現行のモデルは二代目です。2021年12月にマイナーチェンジが実施されています。
タントとスペーシアを比較!
ここからは、タントとスペーシアを比較していきます。
●グレードと価格帯
●外観とボディーサイズ
●室内空間と内装
●シートアレンジ
●荷室空間
●便利な機能
●安全性能
●走行性能と燃費
以上のようなポイントに絞って、両車を比べていきます。なお、福祉車両など特殊なモデルは対象外としています。
グレードと価格帯
タント、スペーシアのどちらも通常グレードのほかに、洗練された外観デザインで装備を充実させたグレード「タント カスタム」「スペーシア カスタム」がラインナップされています。またスペーシアにはSUV風の「スペーシア ギア」もあり、スペーシアのほうがグレード展開が幅広いです。
そしてタントとスペーシアの最大の違いは、タントはガソリン車のみに対し、スペーシアはハイブリッド車のみのラインナップである点です。そのためハイブリッド車を求めている場合はタントは購入対象から外れ、ガソリン車を求めている場合はスペーシアは購入対象から外れます。
なおタントもスペーシアも、駆動方式は2WD(FF)と4WDの両方をラインナップしています。
いっぽう価格面は、どうなっているでしょうか。もっともベーシックなグレードと、「カスタム」のベーシックグレードを比較してみます。
通常グレードの場合、タントの方がわずかに価格が安いです。しかしスペーシアで「スズキ セーフティ サポート」を非装着にすれば、スペーシアの方が安くなります。カスタムグレードの場合は、スペーシアの方が価格が安いです。
スペーシアはハイブリッド車であることを考慮すると、スペーシアの方がお買い得と考えられます。
外観とボディーサイズ
タントとスペーシア、どちらも軽自動車の規格いっぱいの車体です。そのため外観の形状やデザインがよく似ています。車に詳しくない人が見た場合、両車の判別がつきにくいかもしれません。カスタムグレードでも、両車とも大きなグリルを施したフロントマスクは共通です。
ボディーサイズはどのくらい違うのか、比較してみます。
細やかな部分で違いはありますが、両車ともほぼ同じボディーサイズです。
室内空間と内装
続いて、両車の室内について見ていきます。まずは室内空間の広さについて比べてみましょう。
室内幅は5mmほどタントが広いものの、室内長は30mm、室内高は40mmほどスペーシアが広くなっています。
また室内では、インパネ部分に違いがあります。タントはメーターがデジタル式で、中央付近に配置。いっぽう、スペーシアのメーターはアナログ式で、ハンドル側に配置されている違いがあります。どちらがよいかは好みによるところが大きいので、実際に試乗してみてメーターの見やすさを確認してみましょう。
シートアレンジ
タントもスペーシアも、シートを倒すことによってさまざまなシートアレンジがあり、大きな荷物も積載できる点は同じです。しかしシートアレンジの方法に違いがあります。
たとえばフルフラットな状態にする場合、タントはヘッドレストを外して背もたれを倒すという、比較的シンプルで手数が少ない方法です。いっぽうスペーシアはタントと同じ動作に加え、助手席の座面を上げる作業が必要。そのためスペーシアのほうが、シートアレンジの手数が多くて手間がかかります。
荷室空間
荷室ですが、タントもスペーシアも後部座席を倒さない場合は、荷室空間は小さめです。後部座席を倒せば、両車とも広めの荷室空間を利用できます。
さらにスペーシアは、荷室が低めに設定されているのが特徴。そのため荷物の載せ下ろしが楽チンです。
便利な機能
ここでは、タントとスペーシアそれぞれの便利な機能を紹介します。
タントの最大の特徴は「ミラクルオープンドア」。タントは、助手席側の前後のドアのあいだのピラー(柱)がありません。そのため助手席側ドアと、うしろ側のスライドドアを両方開けると、最大1,490mmのとても大きな開口部が出現します。子供やご年配でも乗り降りしやすく、子供をダッコした状態でも楽に乗り降りができるのがメリット。荷物を載せたり下ろしたりするのも楽です。
また運転時の便利機能として、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能があります。電動パーキングブレーキは、指先だけでかんたんにパーキングブレーキを作動・解除。オートブレーキホールド機能は、停車中にブレーキペダルから足を離してもブレーキ状態を保持するものです。どちらも安全性と運転時の負担の軽減を実現しています。
いっぽうスペーシアは、収納の多さが魅力です。アッパーボックス・インパネボックス・グローブボックスの3か所に容量の大きな収納を備えています。そして注目なのが、助手席下にあるシートアンダーボックス。容量が大きめなのに加え、取り外して使えるのでとても便利です。
さらにスペーシアの上位グレードには、天井にサーキュレーターを搭載しています。室内全体に空気が循環し、快適に過ごせるので便利です。
安全性能
タントには「スマートアシスト」、スペーシアには「スズキ・セーフティー・サポート」という予防安全機能を搭載しています。両車の予防安全機能を比較してみましょう。
予防安全性能については、タントの方が少し装備が充実しています。
なおスペーシアのベーシックグレードである「HYBRID G」は、予防安全機能「スズキ・セーフティー・サポート」を搭載しないモデルもあります。その分、価格が安くなるのが利点です。
走行性能と燃費
タントとスペーシアの走行性能を紹介します。
タントでは、思い通りの発進・加速がしやすく、上り坂の発進時でも出遅れにくいCVTとエンジンを採用しています。ガソリンモデルのみで、ハイブリッドは搭載されていません。
いっぽうスペーシアでは、「マイルドハイブリッド」というシステムを搭載しています。マイルドハイブリッドは、アイドリングストップからの再発進時は、ガソリンを使わずにモーターの力だけでクリープ走行。さらに加速時には、モーターの力でエンジンの出力をアシストし、低燃費を実現しています。
また車を購入・運転するときに気になるのが燃費。タントとスペーシアではどちらが燃費がよいのでしょうか。両車の通常グレードとカスタムグレードそれぞれで、もっとも燃費のよいグレードの燃費(WLTCモード)を比較してみます。
マイルドハイブリッドを搭載したスペーシアの方が燃費のよさそうなイメージでしたが、実際に比較してみると燃費に大きな差はありませんでした。むしろハイブリッドではないタントの方がわずかに燃費がよい結果となっています。燃費に関しては、両車はほぼ互角といってよいでしょう。
まとめ
タントは「ミラクルオープンドア」による乗り降りのしやすさや、シートアレンジのしやすさに強みがあります。
いっぽうスペーシアは収納の多さなどの便利さと、「マイルドハイブリッド」による走行性能が特徴です。また、SUV風の派生グレードがあるのもポイントといえます。
タントとスペーシア、それぞれに違った魅力があります。車選びの際は、ご自身の使い道やこだわりなどで選んでみてください。