クリーンな自動車として注目されている電気自動車(EV=Electric Vehicle)。しかしEVを導入したくても、充電するための設備はどうすればいいのか気になりませんか。
またEVの普及とともに「V2H」という言葉も注目されてきました。V2HはEVをさらに便利に活用し、家庭の電気代を節約できる便利なシステムです。
実はEVを普及させるために、国はEV用の充電設備やV2Hの導入などに関する補助金を進めています(2022年現在)。そこでこの記事では、EV用の充電設備の設置時やV2H導入に関する補助金や、充電設備の種類・特徴、V2Hの意味やメリットなどについて解説していきます。
目次
EV用の充電設備の設置時やV2H導入には補助金がもらえる?
EV用の充電設備を設置したくても、コストがかかるから大変だというイメージがありませんか。実はEVの普及推進のために、国は補助金を交付しているのです。EVの充電設備に関する補助金には、おもに以下のものがあります(2022年6月現在)。
● 充電インフラ補助金(令和3年度補正事業)
● V2H充放電設備補助金(令和4年度事業)
ただし充電インフラ(EV用の充電設備)の補助金に関しては、法人が対象です。V2H充放電設備の補助金は、個人でも対象になります。補助金のおもな内容は、下記のとおりです。
V2H充放電設備 | 設備費 | 上限75万円 |
工事費(個人) | 上限40万円 | |
工事費(法人) | 上限95万円 | |
外部給電器 | 設備費 | 上限50万円 |
このほかにも、一部の地方公共団体が独自のEV関連の補助金を出しています。
充電インフラやEV用充電設備、V2H、外部給電器など聞き慣れない言葉も出てきました。次の章からは、それぞれの用語について意味や特徴を紹介していきます。
EV用の充電設備とはどんなもの?
EV用充電設備は、EVやPHVの普及にかかせないものです。家庭はもちろん、集合住宅や街中に充電設備をいかに増加させられるのかが、EVやPHVの普及のカギといってもいいでしょう。
経済産業省の公式サイトによると、EV用の充電設備は大きく2種類あります。ひとつは「普通充電設備」、もうひとつは「急速充電設備」です。さらに普通充電設備は100Vコンセント、200Vコンセント、ポール型普通充電器(200V)の3種にわかれます。
基本的に国内メーカーが製造した充電設備と車種の充電口(ポート)は、統一された規格に基づいて開発されているので、どの車種でも充電が可能です。ただし国外メーカーの車種の場合、規格が異なることがあり、そのときはアダプターを装着して使用する必要があります。
機器の種類と特徴
各EV充電設備の特徴には、どんなものがあるのでしょうか?ひとつずつ見ていきます。
コンセント型普通充電設備(100V・200V)
コンセント型の普通充電設備は、充電用ケーブルの電源プラグを充電用コンセントに、充電用コネクタを車両の充電口に接続して充電を行う設備です。先述のように100Vと200Vの2種類があります。100Vは1時間の充電で約10km程度、200Vは30分の充電で約10km程度走行可能な充電ができるとされています。
コンセント型の普通順殿設備のメリットは、設置費用が安く、工事も簡単な場合が多い点です。壁などにある既存の電源コンセントを改良して設置するため、戸建ての住宅などに向いています。
ポール型普通充電設備
ポール型の普通充電設備は、独立した支柱に充電設備を備えたものです。ポール型にはケーブル付きのタイプとケーブルなしのタイプがあります。
ケーブル付きは充電設備にケーブルが付いているので、ガソリンスタンドで給油するようにアダプターを車の充電口に挿入して充電可能です。ケーブルなしのタイプは、別途ケーブルを用意する必要があります。コンセント型のようにケーブルの電源コネクタを充電設備に、充電コネクタを車両の充電口に挿入することで充電可能です。
ポール型は、コンセント型のように壁がないところでも設置できるのがメリットです。そのため商業施設や商店、企業など各種施設、駐車場、マンションやアパートなどの集合住宅などに向いています。
急速充電設備
急速充電設備は、名前のとおりより早い時間で充電ができるものです。急速充電設備の電源は、3相200V。また出力50kWの充電器が一般的です。
急速充電器は5分間の充電で約40kmの走行ができます。そのため緊急時、車両を頻繁に利用する場合などに向いています。ただし、設置費用は比較的高額で、広い設置場所も必要です。また急速充電設備を設置するときは、高圧供給による契約が必要となる場合があります。
高速道路のパーキングエリアやサービスエリア、道の駅などに設置されているのは、急速充電設備の場合が多いです。
「V2H」とはどんなもの?
EVを購入し、自宅に充電設備を備えたら考えたいのが「V2H」です。V2Hは「Vehicle To Home」の略で、「車から家へ」という意味があります。つまりEVに蓄電された電気を、家庭の電力として活用することです。V2HはEVが運転面以外でもつメリットで、EVならではの特徴といえます。
外部給電器とは?
外部給電器は、EVのバッテリーに蓄えられている電気を取り出す装置です、EVの直流電力を交流に変換します。外部給電器を介して、EVの電気を家庭の家電などに電力供給を可能にするのです。
V2Hのメリット
V2Hを導入すると、どんなメリットがあるでしょうか。おもなメリットを挙げると、以下の3点があります。
● 電気代を節約できる
● 充電時間が最大で約半分に短縮できる
● 災害時に緊急用蓄電池として使用できる
ひとつずつ見ていきましょう。
電気代を節約できる
V2Hを導入すれば、電気代を節約することも可能です。電力が安い夜間にEVの充電を行い、日中に蓄えた電気を使うことで節約になります。もちろんEVの走行コスト(電費)の削減も可能です。
充電時間が最大で約半分に短縮できる
V2Hを使ってEVを充電すれば、一般的な家庭用200Vコンセントで充電するよりも短い時間で充電できます。最大でおよそ2倍のスピードで充電可能です。通勤や業務などで毎日EVを使用する場合は、大変便利になります。
災害時に緊急用蓄電池として使用できる
災害により電力が使用できなくなった場合、EVに蓄えた電気を家庭用の緊急蓄電池として活用できます。たとえば40kWhのバッテリーだと、満充電しておけば一般家庭で約2〜4日分の電源として利用可能です。
また災害時の緊急用として家庭用蓄電池がありますが、EVのバッテリーは家庭用蓄電池よりも大容量である点もメリットといえます。
V2Hを導入するときの注意点
便利でお得なV2Hですが、導入する際に注意する点もあります。V2Hのおもな注意点は、 以下のとおりです。
● V2H対応のEVが必要
● V2H機器が必要で、費用が高額
● V2H機器の設置場所が必要
ひとつずつ見ていきます。
V2H対応のEVが必要
V2Hを導入するには、V2Hに対応したEVに乗っている必要があります。すべてのEVがV2Hに対応しているわけではありませんので、注意しましょう。すでにEVに乗っているときは、導入前に所有しているEVがV2H対応かどうかを確認してください。
またEV購入前にV2Hを検討している場合は、V2Hに対応したEVの購入を検討しましょう。EV購入に対する補助金などもありますので、対象になっているときは活用するのも手です。
V2H機器が必要で、費用が高額
V2Hを活用するためには、専用のV2H機器の設置が必要です。V2H機器の購入や工事代金を合わせると、高額になる場合があります。さきほど紹介したV2H充放電設備の補助金などを上手に活用すれば、設置費用を抑えることも可能です。
V2H機器の設置場所が必要
V2H機器を設置する際に気をつけることは、設置場所が確保できるかどうかという点です。多くの場合は駐車場に設置しますが、設置が不可能な場合は庭を工事して設置場所を確保する場合もあります。
さらに戸建てでも庭が狭いと設置が困難です。マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、V2Hの導入自体が不可能になります。
まとめ
クリーンな自動車として注目されているEVですが、移動手段だけでなく家庭の電気や災害時の備えなど、さまざまな活用方法があります。
EVに関する補助金を活用し、費用を抑えて上手にEVやV2Hを導入しましょう。