
近年、販売店へ行かずにオンラインで商談を進める「オンライン商談」を導入する販売店が増えています。時間や場所を問わずに相談できるため、利用を検討する方も少なくありません。その一方で「やり方がわからない」「安心して契約できるの?」という声もあります。
この記事では、オンライン商談のメリット・デメリットを詳しく解説し、後悔しないための注意点やスムーズに進めるためのコツも紹介します。
目次
車のオンライン商談とは?
車のオンライン商談とは、店舗に出向かずにパソコンやスマートフォン、タブレット端末などを利用して、販売担当者とリアルタイムでやり取りしながら車の購入を検討する方法です。近年ではZoom、Microsoft Teams、Google Meetなどのウェブ会議システムが普及し、これらを活用して商談を行うケースが増えています。
オンライン商談が活発化した背景には、社会全体のデジタルシフトやライフスタイルの変化があります。特にコロナ禍以降、店舗に出向くことが難しくなったり、接触を避ける風潮が続いたりしたことで、オンラインの利便性が注目されるようになりました。また、販売店側も商談システムを整備したり、スタッフを研修したりと、積極的にオンライン化を進めているところが増えています。
オンライン商談のメリット
オンライン商談には、移動の手間がなく、自宅や職場から気軽に相談できる、複数の販売店を効率よく比較できるなど、さまざまなメリットがあります。
時間や場所にとらわれない
オンライン商談では、対面での商談よりも時間と場所の自由度が上がる点が大きなメリットです。オンライン商談であれば自宅やシェアオフィスなど好きな場所から商談に参加でき、販売店によっては営業時間外の対応も柔軟におこなってくれるところがあります。
忙しいビジネスパーソンや、家事・育児に追われてなかなか外出ができない方にとって、場所や時間の融通が利くのはうれしいポイントでしょう。
複数の販売店を比較しやすい
オンライン商談であれば、異なる販売店の担当者と連続してスケジュールを組みやすく、複数店との比較もスムーズに進められます。対面で複数店舗を巡る場合は、店舗間の移動に時間と労力がかかり、1日に回れる店舗の数に限りがあります。
一方、オンラインなら移動時間を考える必要がありません。気になる店舗に連絡をとって商談の予約を入れ、条件や価格の比較を効率よく行えます。
リラックスして相談できる
自宅など慣れた環境で商談を進められることも、オンライン商談の魅力のひとつです。特に初めて車を購入するのであれば、店舗で商談を受けると緊張することもあるでしょう。
しかし、オンラインであれば周囲の目を気にする必要がなく、落ち着いて質問や要望を伝えられるため、自分のペースで納得いくまで相談しやすくなります。
出かけにくい事情がある方も購入しやすい
体調面の不安がある方や、小さな子供がいる家庭など、外出すること自体が困難な状況もあります。オンライン商談であれば、自宅にいながらにして必要な情報を得られるため、店舗へ行く負担が大幅に軽減されるでしょう。
移動のための交通費がかからない
対面商談に行く際は、電車代やガソリン代などの交通費がかかります。オンライン商談ならこれらの費用は不要です。
わずかな金額に思えても、複数店舗を回ったり遠方の販売店へ行ったりするとなれば、意外と大きな出費となりがちです。少しでも購入時の費用を抑えたい方にとって、オンラインでの商談はコスト面でもメリットがあります。
全国の販売店と商談が可能
オンライン商談であれば、地理的な制限がほとんどありません。遠方の中古車専門店や、希少な限定車を扱うディーラーと話す機会を得やすいのもポイントです。
対面商談の場合は、新幹線や飛行機での移動が必要になる遠方の店舗との商談は難しいかもしれません。しかしオンラインなら全国どこでも商談が可能で、自分の欲しい車種や条件に合わせて広範囲に候補を探せます。
オンライン商談のデメリット
メリットが多いオンライン商談ではありますが、注意すべき点もあります。ここでは、オンライン商談のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
車の状態を確認しにくい(特に中古車)
オンライン商談のデメリットとして、実物の車を直接確認できない点が挙げられます。
新車の場合は個体差がないため、カタログ情報や公式サイトのスペック、写真などである程度把握できればOK、という方も少なくありません。対して中古車は個体差が大きく、細かな傷やヘコミ、使用感などを確認する必要があります。
オンラインで映像を見せてもらう場合でも、画面を通してでは把握しきれない可能性が否定できません。映像ではあまり気にならなかった修理痕が、実際に目にすると思ったよりも目立つ、というケースもあります。
コミュニケーション不足になりやすい
オンラインの場合はカメラの角度や画質の問題、インターネット接続状況などによって、コミュニケーションがスムーズにいかないケースもあります。
音声が途切れたり、タイムラグがあったりして質問のタイミングを逃してしまうと、十分に疑問や要望を伝えきれない可能性があるかもしれません。
また、普段からオンラインミーティングに慣れている方は特にコミュニケーションをしにくい、と感じなくても、非対面でのやり取りに慣れていない方の中には「話しにくい」「使い方がよくわからないことに気を取られて話が頭に入ってこない」というケースもあります。
試乗ができない
車の購入において、試乗は欠かせない、と考える方は少なくありません。実際に運転することで、乗り心地や操作感、車内の静粛性や視界の広さなどを確かめられるためです。
しかし、オンライン商談では物理的に試乗はできません。そのため、本当に自分に合う車かを最終的に判断するには「絶対に試乗が必要」という方にとってはデメリットになるでしょう。
アプリのダウンロードなど事前準備が必要なケースがある
オンライン商談に使用するツールによっては、アプリのダウンロードやアカウント登録が必要になる場合があります。
パソコン操作やスマートフォンのアプリに慣れていない方は、こうした事前準備が負担に感じることもあるでしょう。また、システムによっては接続の手順が複雑な場合もあるため、商談前にしっかり環境を整えておく必要があります。

オンライン商談で車を購入するときに気を付けたい点
オンライン商談で車を購入する際には、以下の点を押さえておくことをおすすめします。
販売店の信頼性を確認する
オンライン商談では、対面よりも販売店の雰囲気や担当者の誠実さを感じ取りにくい面があります。
そのため、商談を始める前に販売店の実績や口コミ、運営歴などを調べ、信頼できる店舗かどうかを確認しておきましょう。大手販売店や地域に根ざした老舗販売店であれば、何かあった時でも対応してもらいやすいという安心感もあります。
契約内容をしっかり確認する
契約内容については、対面商談以上に確認を徹底しましょう。近年では契約書類の電子化が進み、電子契約やメールでの承諾、電子署名などの手続きが普及しつつあります。そうした作業に慣れていないことから、確認がおろそかになるのは避けたいところです。時間がかかっても、販売店のスタッフと一緒に項目ごとに確認しましょう。
車両価格だけでなく諸費用、納車費用、保証やアフターサービスの内容など、契約書の細部まで必ずチェックし、不明点があれば都度質問して納得の上でサインすることが重要です。
契約内容をオンライン商談で決め、最終的な契約書類のやり取りは郵送で行うケースもあります。その場合でも届いた書類に目を通し、商談で決めた内容に差が生じていないかを確認しましょう。
個人情報の取り扱いに注意する
オンライン商談では、氏名や住所、連絡先、ローンを組む場合は収入など、重要な個人情報をインターネット上でやり取りする場合があります。個人情報保護法や各種関連法が改正され、販売店側もセキュリティ対策を強化していますが、利用するツールや通信環境によってはリスクがまったくないとは言い切れません。
暗号化された安全な通信手段を使っているか、販売店のプライバシーポリシーが明確かどうかを必ず確認してから商談を進めるようにしましょう。
オンライン環境を整える
オンライン商談がスムーズに進むかどうかは、通信環境に大きく左右されます。Wi-Fiの速度が遅かったり、通信が不安定だったりすると、画面が固まったり音声が途切れたりして、重要な話を聞き逃してしまうかもしれません。
できるだけ高速回線を利用し、雑音や映り込みが少ない場所を選ぶことが理想です。また、カメラやマイクのテストを事前に行っておくと、商談当日のトラブルを減らせます。
不明点や疑問点はしっかりと質問する
対面商談よりもコミュニケーションのハードルが上がる分、わからないことがあれば積極的に質問する意識が必要です。「一度商談が終わると聞きづらい」という方もいますが、オンラインであっても後からメールや電話などで追加の質問をすることは可能です。大きな買い物だからこそ、疑問点を放置せずに解消しておきましょう。
納車時期を確認する
契約を結んだ後は、通常通り納車の流れが進みます。新車の場合は工場出荷のスケジュールや輸送手配などで納車時期が変動することが少なくありません。中古車でも整備やクリーニングの進捗によって、納車日が前後することもあります。
特に遠方からの購入や在庫の少ない車種を購入する場合は、納車までに想定以上の時間がかかることもあるため、事前に納期をしっかり確認し、焦らずにスケジュールを立てましょう。

よりスムーズに車のオンライン商談を進めるコツ
よりスムーズに車のオンライン商談を進めるには、事前準備が大切です。購入したい車の候補を絞り、メーカーのカタログや諸元表に目を通しておくといいでしょう。そのうえで、カタログから読み取れない部分などの質問事項をリスト化しておくと、聞き漏らしを防げます。
購入方法も、事前にある程度検討しておきましょう。現金一括払い・ローン・リースなど、自分に合った支払いプランを考えておけば、商談中に具体的な提案を受けやすくなります。
当日は、販売店の案内を確認し、必要なアプリの準備やウェブ会議の接続テストを済ませておくと安心です。カメラ、マイクなどの動作が良好かもチェックしておきましょう。画面共有の方法や録画方法も、事前に試しておくことをおすすめします。
オンライン商談に向いている方
オンライン商談は、店舗へ行く時間が取れない方や、遠方の販売店の車を検討している方にとって便利な選択肢です。仕事が忙しく移動が難しい方や、外出しにくい事情がある方にも適しています。また、リモートでの商談に抵抗がなく、ある程度車の知識がある方であれば、対面と同じようにスムーズに話を進められるでしょう。
過去に車を購入した経験がある方も、商談のポイントを把握しやすく、オンラインでも問題なく検討を進めやすい傾向があります。特に、すでに試乗を済ませていたり、同じ車種に乗っていた経験があったりする場合は、実車を見なくてもイメージがつきやすく、オンライン商談のメリットを最大限に活かせるでしょう。
また、試乗をそれほど重視しない方にとっても、オンライン商談は時間を有効に使える手段になります。
オンライン商談が不向きなのはこんな方
一方で、PCやタブレットの操作に慣れていない方は、商談よりもシステムの使い方に気を取られてしまい、内容が十分に理解できない可能性があります。また、対面でのやり取りを重視し、販売員と直接会話しながらじっくり検討したい方にとっては、オンライン商談では安心感が得られにくいかもしれません。
特に、実車を自分の目でしっかり確認しないと納得できない方や、試乗を購入の決め手と考えている方には、オンライン商談は不向きです。中古車を検討している場合、細かい傷やコンディションを直接チェックしたいという気持ちが強ければ、実際に販売店へ足を運ぶほうが確実でしょう。また、諸元表やカタログの情報だけではイメージがつかみにくいと感じる方も、対面での商談のほうが適しているかもしれません。

まとめ
車は高い買い物であり、長く付き合うものです。だからこそ、自分のライフスタイルや希望に合った最高の一台を手に入れたいもの。商談はその後のカーライフの満足度に大きくかかわってくるため、オンライン商談を含め自身にとってベストな方法を選択することが大切です。
販売店の雰囲気が苦手、外出しにくいなど対面での商談が難しい方は、オンライン商談の利用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
